認知症とは

認知症とは

ninchisyo2
1.認知症とは

(1) 認知症は、脳の細胞が変性し脳の器質的障害から脳の機能
が低下し、日常生活に
支障を
きたしている状態ですが、原因と言われているものに

①脳血管性の障害…大脳白質の血管の閉塞、破れ(脳出血、脳梗塞)
②脳の萎縮・老化…大脳皮質の変性(アルツハイマー型認知症、ピック病)
の2つが挙げられています。
※若年性のもので50~60才で軽度発症の兆しがあると、20年後には確実に
発症すると言われています。
もの忘れが見られ生活に支障をきたしている状態を認知症と言います。

老化によるもの忘れと認知症の違い

老化によるもの忘れ 認知症
できごとの一部を忘れる。 できごとがあったことを忘れる。
ヒントで思い出す。 ヒント・指摘でも思い出せない。
もの忘れを自覚する。 もの忘れをとりつくろう。気がつかない。

認知症のタイプと分類

アルツハイマー型認知症

50~60%

大脳にアミロイドβが蓄積し、海馬が萎縮する。
場所がわからない。同じことを聞く。
もの盗られ妄想がある。徐々に進行。

脳血管性認知症

20~30%

脳血管が詰まる。または破れる状態。
麻痺・歩行障害がある。
まだら認知症、悲観的、易興奮性、感情失禁。
前頭葉血流低下。段階的に進行する。

前頭側頭型認知症(ピック病)

10%

大脳萎縮性疾患、反道徳的(盗み・暴力)行為
病気の自覚がない。
同じ行動を繰り返す、記憶に障害なし。
 その他 10%

アルツハイマー型認知症は60代頃より発症し、その進行も早いと言います。
医学的には、脳の代謝物質であるアミロイドβが若いときには代謝によって蓄積されませんが、加齢により没運動や血管循環量が低下することで大脳にアミロイドβは蓄積され、付着して記憶の障害や認知機能障害を中心とした、認知症特有の症状が現れてきます。

表出される症状

中核症状としては、
①意欲低下
②見当識障害(場所・時がわからない)
③記憶障害(新しいことが憶えられない)・計算力障害
④思考判断力の低下
⑤失語・失認(言葉が出ない、鏡やテレビと会話する、人と物を識別できない)
⑥失行(どうやって服を着るのか、スムーズに動けない、実行機能障害)

周辺症状としてはBPSD(行動・心理症状)
認知症の場合、その人の性格や環境、人間関係などが要因となって起こる二次的な症状で人によって違います。
不安・うつ・不眠・妄想・幻覚・失禁・暴力・徘徊・譫妄(錯覚・妄想・意識混濁・精神的興奮)
などが見られます。ここは軽度と重度が混在しています。

※「BPSD」は Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略語

認知症の危険因子
遺伝・加齢・生活習慣病(動脈硬化・高血圧・心臓病・脂質異常症・糖尿病)がベースにあり、没運動・没行動・歩行障害・うつ病などによっても、認知症危険因子は増大すると言います。
生活習慣を整え、血液と血管を正常で健康に保つことから認知症予防は可能になります。

認知症を予防する
認知症はかつて「痴呆」と呼ばれ、記憶がなくなることで時間・場所の感覚、判断力がなくなり、幻覚・妄想・興奮・徘徊が見られ、自身の始末もできなくなる病気と恐れられていました。
最近の研究では「脳には治る力」があること(可塑性)がわかり、認知症発症を防ぐ一次予防、早期診断で悪化を遅らせることが可能となりました。
二次予防は、認知症になっても地域で自分らしく生き甲斐を持って生きるという
三次予防を認知症予防システムの一貫したネットワークを組み立てていきます。
国や市町村が幅広く窓口を連携させ、ネットワーク作りのための窓口を網羅することが大切です。
いつでもどこでも誰でも頼れる相談窓口が必要となります。

認知症と高齢者ケア
高齢者が歩けなくなる原因に男性は脳血管損傷28%、女性は運動器障害83%と挙げましたが、この身体の不自由からくる没運動状態が認知症へと誘われていくきっかけとなります。
手段である①耳(聞く)②口(話す)③手(書く)④目(見る読む)のいずれかに聞こえない、うまく話せない、字が書けない、よく見えないといった症状を抱えている人が殆どです。
これに、膝関節痛・腰痛・不眠・神経痛・糖尿病が加わると、没運動・没外出となり家にひきこもりがちになります。
社会参加・会話コミュニケーション運動が減ると脳の血流も減り血管や脳も萎縮していきます。
血圧や血液の症状を正常に保ち、適切な運動と食事・社会参加とコミュニケーションがとれることで大脳も賦活されていきます。

メニュー
富士山麓病院